「終末のフール」(伊坂幸太郎)が面白い!
究極の世界感の中のありふれた日々
8年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた頃。当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちも同様だった。彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐・・・
(★5つが高評価:あくまで私見です…)
世界観 ★★★★★
ストーリー ★★★★☆
よみやすさ ★★★★★
全体の長さ ★★★★☆
衝撃度 ★☆☆☆☆
感動 ★★★☆☆
心に響く度 ★★★★★
(平均:3.9)
「8年後に小惑星が衝突して地球が滅びる」
この1点の世界感を持ち込むだけで、
ありふれた日々が、こんなにも
特別なものになり、
また犯罪や死といったことが
他愛もないことになる…
8話のオムニバスですが、
それぞれに印象的な話が続き、
「普通ではない」世界で
「普通」のことが
どう感じられるかを体感できる
とても不思議なストーリーです!
8年後に落ちるとわかってから
5年が経過し、街や人々が
一旦落ち着いている、、、
という設定もとても面白く、
「小惑星が落ちてくる~!」という
ハリウッド映画みたいな話とは
まったく別ものなのが、
とても心に響きます。
5年間の中で、
絶望し終止符を打っていく人々…
オムニバスの主人公たちは
いずれも、
5年間を生き、
さらに3年後のその時を
迎えようと生きています。
変なSF要素や、パンデミック要素を
排除しているからこそ、
それぞれの主人公に共感し、
それぞれのストーリーが胸を打ちます。
同じ団地を舞台とし、
それぞれの主人公たちが、
違う話にも登場したり、
逆の立場ででてきたりと、
一冊を通じて楽しめる作品です。
衝撃的なストーリーや
どんでんがえしなどはなく、
そういった本を求めている方には
おすすめできません、、、
最後まで小惑星はおちてきませんし 笑
極端な話はなく、
いたって穏やかなストーリーにもかかわらず
世界感によって、とても心を打つ作品です。
おすすめです!!
コメント